ブルガリアとルーマニア 条 件 付 の E U 加 盟 |
2006年12月14/15日、EU加盟25ヶ国の首脳は、ブルガリアとルーマニアの2007年元旦加盟を全会一致で了承した(参照)。これを受け、2004年5月に始まった 東方拡大 が完結し、EUは27ヶ国体制になる。EUの外境は黒海に達し、市民の人口は約5000万人増える。 すでに2006年9月、欧州委員会は、両国の2007年元旦加盟を提案しているが、加盟準備が完全に整っていないことも同時に指摘している(詳しくは こちら)。加盟を数日後に控えた現在まで、このような状況に変わりがなく、司法・行政改革の遅れや、蔓延する汚職に対する批判は強い。そのため、加盟要件 の充足を厳しく審査していたならば、加盟の先送りは不可避的であったとされている(参照)。それにも拘わらず、ブルガリアとルーマニアの2007年元旦加盟が実現するのは、2004年末の時点で、当時のEU加盟国は、両国の2007年元旦加盟について決定しており(参照)、それを延期するには、全加盟国の同意が必要になるためである。また、欧州委員会は、EU加盟後は、これまでよりも強く圧力を加えることができるとしている(参照)。
なお、加盟時にすべての要件を充足していない国は、これまでにもあったが(参照)、ブルガリアとルーマニアのケースはより深刻である。EUの農業補助金を管理する行政組織や農地制度がまだ整備されていないことに基づき、補助金の支給は見送られる。 現加盟国やその国民(EU市民)にとっては、労働者の移入がより大きな問題となっているが、新規加盟国に市場を完全に開放するのは、スウェーデンとフィンランドに加え、2004年5月に加盟した国々(ハンガリーを除く)に留まっている。東方拡大時、イギリスとアイルランドは市場を開放していたが、今回は制限を設けている(参照)。 当初6ヶ国でスタートした欧州統合は、年が明けると27ヶ国体制にまで発展するとはいえ、まだ完結していない。第2次東方拡大の経験を踏まえ、加盟国は、@ 加盟時期は直前に決定すること、また、A 行政・司法改革や汚職対策など、実施が困難と解される案件は、加盟交渉改定の早い段階で扱うことを決定した(詳しくは こちら)。
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(参照) |
Die Presse v. 27.
December 2006 (Kleine
Erweiterung, große Probleme)
Die Presse v. 22.
December 2006 (Arbeitsmarkt:
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(2006年12月30日 記) |