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キプロス問題をめぐる関係当事国の交渉失敗


 両キプロス間の和平交渉が挫折したのを受け、保護国であるギリシャとトルコが協議に参加したが、それも失敗に終わったの受け、国連のアナン事務総長は、2004年3月29日、修正調停案を提示した。同案は、従来どおり、2つの州からなる連邦国家の創設を基本にした上で、ギリシャ系トルコの要請に従い、所有権や経済格差に関する問題を改善し、また、トルコ系ギリシャの主張を容れ、同国の独立と安全性を保障するため、トルコ軍の駐留を認めている。なお、ギリシャ系キプロスのため、ギリシャ軍の駐留も容認されている。

 国連の主導下、スイスの Buergenstock (ビュルゲンシュトック)のホテルで行われた最後の和平交渉には、両キプロス、ギリシャ、トルコの他に、EU拡大問題を管轄する Verheugen(フェアホイゲン)欧州委員長も参加したが、3月31日深夜まで、国連の調停案に沿った形で和解は成立せず、和平交渉は失敗に終わった。


 これを受け、キプロス問題の解決は、両キプロスの国民に委ねられることになった。4月24日、両国では、国民投票が実施される予定であるが、どちらか一方の国で、統一案(国連案)が否決されれば、統一は成立せず、5月1日には、ギリシャ系キプロスのみが、EUに加盟することになる
参考。現在のところ、トルコ系キプロスでは統一賛成派が多数を占めるものの、ギリシャ系キプロスは、否決するものと解されている。

 本年2月から行われていた交渉過程では、トルコが問題解決に向け、積極的に活動しており、国連やEUより高い評価を受けている。同国のEU加盟交渉を開始するかどうかは、本年12月に決定される予定であるが、調査機関である欧州委員会にも良い印象を与えたものと解される。


(2004年4月10日記)


(参考) NZZ(国連の和解修正案について) 
NZZ(和平交渉の失敗について)
NZZ(トルコの貢献について)

New ギリシャ系キプロス、国連案を否決 



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