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EUの旗 Rehn 欧州委員  トルコとの加盟交渉開始について語る

 2005年9月9日付けの Die Presse 紙には、Olli Rehn 欧州委員(EU拡大担当)のインタビュー記事が掲載されている(参照)。オーストリアの日刊紙の質問に対し、フィンランド出身の欧州委員は、トルコとの加盟交渉を開始させなければならないことを改めて指摘しているが、その発言の概要は以下の通りである。


Rehn 欧州委員(EU拡大担当)

写真提供
Audiovisual Library European Commission


リストマーク トルコとの加盟交渉開始の要件について

 トルコがキプロスを独立国家として承認することは、加盟交渉開始の要件には当たらない(参照)。事前に定められた要件によれば、トルコは 関税同盟 の拡大に関する附属議定書に署名すればよいわけであるから、加盟交渉は予定通り開始することができよう。



リストマーク トルコによるキプロスの承認拒否について

 欧州委員会の法律顧問は、EU加盟25ヶ国と加盟交渉を行うことは、事実上、キプロスを承認することを意味すると捉えている。現在、作成中の宣言(トルコに対するEU側の声明)の中ではこの点や、関税同盟の拡大の意義が強調されることになろう。



リストマーク EU市民の多くはトルコのEU加盟に反対していることについて

 欧州委員会はEU市民の見解を無視しているわけではない。市民の声を聞くため、私はドイツとフランスで休暇を過ごしており、トルコのEU加盟に懐疑的な意見があることを十分承知している(参照)。しかし、加盟交渉を開始すべきかという問題と、トルコの加盟を直ちに認めるべきかという問題を混同してはならない。トルコが加盟要件を全て満たした場合には、加盟を認めるべきかとの質問に対しては、否定的な答えは多くないであろう。加盟が実現するのは10〜15年後と想定されており、EU加盟への道のりは、長く、険しいものとなろう(参照)。



リストマーク 代替案が盛り込まれなかったことについて

 2005年9月のEU加盟国外相会議で、オーストリアが要求していた代替案(リストマーク 特権的パートナーシップ)は採択されなかったが(参照)、トルコの制度改革を奨励するためには、魅力のある目標を明確に定める必要がある。

 トルコが加盟要件を全て充足することができなかったときは、代替案について検討されなければならない。特権的パートナーシップ は今後も議論の対象になるであろうが、トルコに加盟要件の充足を促す補足的な方法になろう


リストマーク 今後のEU拡大について

 EUがどこまで拡大しうるかは、その受容能力にかかっている。そのため、第3国と新たに協議する前に、我々は第3国を受け入れることができるかどうかについて検討しなければならない。







(参照) Die Presse v. 9. September 2005 (Rehn: Verhandlung mit Türkei wie geplant)


Rehn 欧州委員、トルコの制度改革に懸念を示す

Rehn 欧州委員、トルコのEU加盟問題について語る


トルコのEU加盟問題

(2005年9月9日 記)