2005年10月3・4日、EU加盟25ヶ国の外相は、トルコのEU加盟に関し、EUの受け入れ能力という要件を追加した。つまり、トルコのEU加盟に際しては、EU条約第49条 や コペンハーゲン基準 の充足だけではなく、EUはトルコを迎え入れることができるかどうか
(Aufnahmekapazität)が審査される。これは、オーストリアの要請に従い
導入された要件であるが(参照)、かねてより要件の追加に反対していたトルコも、了承している。
EU加盟国外相会議(EU理事会)の決定に照らせば、新要件は、トルコに対してのみ適用されると解される(他方、クロアチアのEU加盟の際には問われない)。
新要件であるEUの受け入れ能力
(Aufnahmekapazität) の内容は明らかにされていないが、財政的かつ機構制度上の問題がクローズアップされることになろう。詳細な判断基準は、今後、欧州委員会によって検討され、EU理事会に提案されるものと解される。2005年10月6日、Rehn 欧州委員(EU拡大担当)は、委員会はトルコとの加盟交渉終了後(つまり、早くても10年後)に、新要件の充足性について検討し、理事会に提案すると述べている。また、同委員は、EUの受け入れ能力は、すでに
東方拡大 の際にも問題になったが、トルコの人口は、
当時の新規加盟10ヶ国に匹敵するため、EUの機構改革が必要になること、また、フランスは、欧州憲法条約の発効をトルコのEU加盟の条件にしていることを指摘している(参照、こちらも参照)。
新要件を厳格に適用するならば、EUが受容力に欠けるときは、トルコの加盟
は実現しえないことになるが、EU内の問題をトルコに転嫁するのは子供じみていると批判する見方もある(参照)。
2006年6月の欧州理事会
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