経済力に劣り、高人口国のトルコは、宗教、文化、地理的にヨーロッパからかけ離れているだけではなく、不安定な中近東諸国に隣接していることから、多数のEU市民は、さらなるEU拡大に根強く反対している(参照 @ A)、保守的なイスラム教徒も同様に、トルコのEU加盟を「恐怖のシナリオ」と捉えているとされる。つまり、ヨーロッパへの統合は、トルコをイスラム社会から離脱させることのみを目的としており、トルコが地域に背を向け、再び戻ってくることはないかと危惧しているとされる(参照)。
他方、リベラルなアラブ人は、「中規模の地震」は起きるものの、最終的には良い結果がえられるのではないかと楽観視している。つまり、トルコのEU加盟は、ヨーロッパとイスラム社会が互いの相違点を受け入れ、統合することができるかどうかを試す機会になると捉えているとされる。
いずれにせよ、アラブ世界において、トルコのEU加盟は、経済的な観点からではなく、政治的な観点から捉えられているとされるが、加盟が実現すれば、ヨーロッパのイメージも改善されることになると解される。
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