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EU加盟より半年が経過したエストニアの現状

エストニア国旗 旧ソ連に属していたバルト3国の中でも最も北に位置し、ブリュッセルから遠くかけ離れたエストニアでは(EU加盟国の地図は こちら、独立の気運が強く、また、EU加盟より得られる経済的利益も小さいとの予測から、EU懐疑論が強く主張されていた(詳しくは こちら

 しかし、EU加盟より半年が経過した現在、物価の上昇や先行きの不透明感などに裏付けられた懐疑論は、誤っていたことが明らかになった。つまり、物価の高騰はみられず、国内経済は大きく成長した(2004年上半期、国内経済は、6.3%の上昇)。




New 2005年の物価上昇率は4.1%と大幅に上昇しており、欧州委員会は、2007年中のユーロ導入を疑問視している(ユーロ導入基準)。(過去に経済相を務めたことのある)Andrus Ansip 首相は、物価の上昇は石油の高騰によるものであり、経済政策の失策によるものではないとしている。

エストニアの物価上昇率
2003年 1.3%
2004年 3%
2005年 4.1%


(参照) uro, 2006, Heft 3, Seite 18-21, 20 ("Was können wir von Estland lernen, Herr Ansip?"

(2006年2月23日 記)




 また、失業率も継続して低下しており、現在は、EU水準に到達している。ユーロ導入の要件の一つである為替相場メカニズム(ERM II)には、すでに2004年6月に加盟しており、政府は、2006年内の全要件充足、2007年内の単一通貨導入を目指している(詳しくは こちら

 もっとも、この経済発展の恩恵を受ける国民は多くなく、エストニア政府の統計によると、国民の約18%は、貧困層に属している。また、平均収入は、依然として、EUの平均値を大きく下回っている。そのため、大学で高等教育を受けた若者は、高収入と豊かな生活を求めて、他のEU加盟国に流出するといった現象が深刻な問題として浮上している。



(参照) Die Presse v. 10. November 2004 (Estland: Für mich ist es normal, Teil Europas zu sein)

バルト3国のTiger、エストニア

法人税ダンピング − エストニア首相の反論


東方拡大より1年、中東欧諸国の現状


(2004年11月13日 記 2006年2月23日 更新)