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オーストリアのSchüssel 首相、トルコのEU加盟について語る


 2005年8月1日付けのドイツの週刊誌 Der Spiegel には、オーストリアの Wolfgang Schüssel 首相(写真右)のインタビュー記事が掲載されている。その中で、首相は、自国の経済改革や隣国ドイツの経済状況について語っているが、フランスオランダ の国民投票で欧州憲法条約の批准が否決されたことについて、以下のように述べている。

Schuessel 首相

 両国で憲法条約の批准が否決されたのは、多くの理由に基づいているが、その例として、EU拡大のゆくえが不確実であることが挙げられる。しかし、ルーマニア、ブルガリア、また、クロアチアの加盟(参照)は実現するであろう。人口4700万のウクライナや、7000万の トルコ がこれに続くかどうかは検討を要する。

 トルコの加盟は、2004年5月の10ヶ国の加盟 よりも、より多くの資金を必要とする。そのため、果たして、トルコのEU加盟は財政的に可能かどうか審議しなければならない(参照)。また、EU市民の懸念や心配にも対処する必要がある。



 保守系政治家の Schüssel 首相は、かねてより、トルコのEU加盟に慎重な態度をとってきたが(参照)、財政的問題は、同じくオーストリア出身の Fischler 前欧州委員(農業政策担当)によっても強調されていた(参照@A)。


 トルコのEU加盟に慎重な真の理由は、文化的相違にあるのではという記者の質問について、Schüssel 首相は、これを否定した上で、2004年12月の欧州理事会 では、@ トルコのEU加盟が保障されているわけではなく、加盟交渉の結果は未定であること、A EUがトルコを迎え入れることができるか検討すべきであること、B 完全加盟に代わる案についても審議されることであることが決定されている(参照)と述べている。



(参照) Der Spiegel, Heft Nr. 31 (1. August 2005), Seite 118-121 ("Wie wollen euch nicht übeholen")

トルコのEU加盟問題とオーストリア

EUの新たな危機 


写真提供
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(2005年8月10日 記)