EUの権限
諸原則 〜
EU法の優先
欧州憲法第1部第3編のタイトルは、EUの権限であるが、個別的授権の原則、補完性の原則、比例性の原則 についても定められている(Article I-11 )。これらは、従来より、EC条約内でも規定されていたが、欧州憲法は、新たに、EU法の優先性
について明定している。
補完性の原則と比例性の原則に関する議定書
EUの排他的権限(専属的管轄権)
ある権限はEU(EC)にのみ属するか、または、加盟国の下に残っているか(またはEU・ECと共有するか)といった権限の帰属に関する争いが絶えないが、欧州憲法は、EUが排他的権限(専属的管轄権)を有する分野を以下のように列記している(Article
I-13 para. 1)。
その他、EUは、@国際協定の締結がEU法の中で定められていたり、AEUの政策の実施に必要であるか、または、EU法に支障が生じることを防ぐために必要なとき、国際協定を締結しうるが、この締結権限はEUにのみ与えられる(Article
I-13 para. 2)。
EUが排他的権限を有するとき、加盟国は @ EUから権限を与えられているか、A EU法を実施する場合に限り、行動しうる(Article I-12
para. 1)。
EUと加盟国の双方が有する権限
以下の主要政策分野において、EUは加盟国と権限を分け合う(Article I-14 para. 2)。
研究、技術開発や宇宙航空の分野において、EUは、特に、プログラムを策定し、実施することができる。もっとも、加盟国の権限行使を阻害してはならない(Article
I-14 para. 3)。
また、発展援助
や人道支援に関し、EUは何らかの措置を講じたり、共通の政策を実施することができる。もっとも、加盟国の権限行使を阻害してはならない(Article
I-14 para. 4)。
EUの補充的な権限
さらに、以下の分野において、EUは加盟国の政策を支援、調整、または補充することができる(Article I-17)。
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