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欧州憲法



フランスの国民投票で批准が否決された場合

フランス国旗 2005年5月29日(日)、フランスでは欧州憲法条約批准の是非を問う国民投票が実施される予定であるが、国内の政治・経済に対する不満や、将来のEU統合(トルコのEU加盟問題 を含む)に対する懸念から、批准反対派が台頭している(詳しくは こちら)。

 実際にフランス国民が憲法条約の批准を否決する場合には、憲法条約は発効しえない(発効には全加盟国の批准が必要である)。そのため、ニース条約 に基づく現状が維持されることになるが、今後のEUの発展には、大きな影響が生じるのは必至である(詳しくは こちら)。



リストマーク 憲法条約の修正

 基本条約の批准が国民投票で否決された加盟国に対し、対処策が講じられたことがある。1992年6月、マーストリヒト条約 の批准を否決したデンマークには、ユーロの導入を見送る権利が与えられている。

 しかし、フランスにおいて国民投票が実施される前の段階において、“Plan B”、つまり、批准が否決される場合の対処策は検討されていない(参照@A)。これには、憲法条約は内容的にベストな状態にあり、改善要求は非現実的であることを周知させる意義も含まれているが(参照)、実際に、憲法条約をフランスに有利に改正することは不可能であろう。例えば、憲法条約の柱である機構制度改革(参照)が実施された場合、フランスは1名しか欧州委員候補を擁立することができなくなるが(参照)、これを現在のように、2名に変更することは考えられない。



リストマーク イギリスとの比較

 EU懐疑論は、イギリス国民の間により深く浸透しており、2006年前半に実施されるとみられている国民投票の動向も注目を集めているが(参照)、フランスと異なり、イギリスでは投票結果に拘束力はない。また、EU統合にとって、イギリスの参加は不可欠の要因ではないのに対し(ユーロの導入も見送っている)、原加盟国であり、かつ、今日でも原動力として中心的役割を果たしているフランスの不参加は、「破滅的な影響」(参照)をもたらすと解される(参照)。この意味において、2005年5月29日は、「EUの運命を決定する日」と言える(参照)。






(参照) FAZ v. 19. Mai 2005 ("Dreiergipfel: "EU-Verfassung wird nicht neu verhandelt")

NZZ v. 9. April 2005 ("Der 29. Mai - schicksalshaft für die EU")


Die Welt v. 21. Mai 2005 ("Belgisches Parlament stimmt EU-Verfassung zu")

フランスの批准見送り危機

フランス大統領、国内の青年とテレビ公開討論

フランス海外県・領土の反応



(2005年5月23日 記)