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欧州憲法


フィンランド、国民投票は実施せず

フィンランドの国旗 2006年5月12日、フィンランド国会(一院制)は、欧州憲法条約の批准に関し、国民投票を実施しないことを決めた。今後、同国は、内閣で協議した後、国会の承認によって批准を決定するが、批准推進派の Matti Vanhanen 首相(写真下)は、6月初めには、国会に議案を提出するとしている。国会の承認は確実視されており、早ければ、6月2日に批准が実現する(参照)。


 昨年10月、フィンランド政府は批准手続の延期を決定していたが、本年7月より、EU理事会議長国に就任するため、それまでに批准が完了していなければ、同国の指導力が損なわれるとの批判もなされていた(参照)。前述した議会の決定を受け、早期加盟の可能性が高まった(New オーストリアの日刊紙 Der Standard は、フィンランドの批准は、2006年秋と捉えている〔参照〕)。




フィンランドの Vanhanen 首相 なお、2005年5・6月、フランスオランダ で実施された国民投票で憲法条約の批准が否決されたことを受け、同条約の生命は絶たれたに等しいとする意見も出ており(参照)、新たに批准手続を開始する意義を疑問視する見解もあるが、フィンランドの Matti Vanhanen 首相(写真右)は、2006年5月のドイツ訪問時、「憲法条約は死んでしまったわけではない」と強調している。なお、6月から始まる議長国期間中に加盟国間で協議を重ねるが、フランス大統領選(2007年)の前に大きな進展は期待できないと述べている。憲法条約やエネルギー政策について話し合うため、フィンランドは、10月20日に加盟国首脳会議(欧州理事会)の開催を検討している(参照)。







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リストマーク 2006年6月15・16日の欧州理事会で、憲法条約の見直しに関するアプローチが決定されたが(参照)、6月18日付けの Frankfurter Allgemeine Sonntagszeitung 紙において、Vanhanen 首相(写真上)は、全加盟国が合意しうる妥協案など考えられないとし、条約修正の動きを警戒すると共に、フィンランドは現在の憲法条約を支持するという立場を述べている(参照)。


 ・ フィンランド国会、批准を決定 リストマーク




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(参照) Der Standard v. 12. Mai 2006 ("Finnisches Parlament stimmt für EU-Verfassung")

Die Welt v. 13. Mai 2006 ("Finnischer Reichstag ebnet Weg für Ratifizierung der EU-Verfassung")
 


憲法条約の批准

  ・ 批准状況

フィンランド国会、批准を決定
リストマーク


写真提供:© European Community 2006



(2006年5月13日 記  5月15日 更新)