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欧州憲法


チェコ 国民投票を見送りか


  チェコの国旗 かねてより、チェコは、欧州憲法条約 の批准に際し、国民投票の実施を計画しているが(詳しくは こちら)、2005年3月3日付けのオーストリアの日刊紙 Die Presse は、国民投票が見送られる可能性があると報じた。これは、Stanislav Gross 首相の不動産不正取引疑惑が発覚し、現政権は危機に晒されているからとされる(
New その後、Gross  首相は辞任した。詳しくは こちら)。

 欧州憲法条約の批准に積極的な現政権は、当初、国民投票の実施を計画していたが(参照)、国民の政治不信が悪影響を及ぼしかねないため、国民投票を見送り、国会の承認によって批准を決定する選択肢について検討しているとされる。なお、チェコの最高裁によれば、欧州憲法条約は国内憲法に大きな影響を与えるため、国内憲法の改正に必要な賛成票(4分の3の賛成)でもって批准を決定すべきとされるが、この要件の充足は困難と解されている。

 ところで、チェコでは、地方公共団体レベルにおける住民投票は法的に可能であるが、国民投票に関する法律は整備されていない。そのため、国民投票の実施には、特別法の制定が必要になる。

 なお、憲法条約支持を打ち出している政府の方針とは異なり、Václav Klaus 大統領は批判的な発言を繰り返し、物議を醸している(参照@A)。




New 不動産の不正取引を追求され、辞任した Stanislav Gross 首相に代わり、首相の座に就いた Jiri Paroubek 氏(社会民主党[CSSD])は、2005年5月1日のテレビ番組で、国民投票を実施し、欧州憲法条約批准の是非を直接、国民に問う意向を明らかにした。なお、前政権下とは異なり、新政権を構成する3党(CSSD, KDU-CSL, US-DEU)は、国民投票の実施について合意しておらず、批准のみを政策目標に掲げている。批准の方法については、これから決定されることになるが、閣僚の中からは、議会決定を支持する声も聞かれる(Cyril Svoboda 外相[KDU-CSL])。


(参照) Der Standard v. 01. Mai 2005 ("Prag: Premier will Volksabstimmung über EU-Verfassung")

(2005年5月2日 記)





(参照) Die Presse v. 3. März 2005 ("Verfassung: Doch kein Referendum in Tschechien?")

Die Welt v. 25. August 2005


チェコの批准状況


(2005年3月3日 記 5月2日 更新)