授 業 の 目 標 と そ の 内 容

 最近では国際的な商取引がますます盛んに行われていますが、次のような事例を考えてみてください。アメリカの会社は、日本在住の顧客(法人)に商品を販売しました。ところが、日本の買主は、経営状況が悪化し、代金を契約通りに支払うことができません。米国の会社が買主に代金の支払を求める訴えを提起する場合には、どうすればよいでしょうか。次の点を考えてください。



 代金の支払を請求

 米国企業(売主)                        日本企業(買主)


   ※ 米国の企業が原告、日本国内の企業が被告となります。



     参照 民事裁判手続の流れ

 

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国際裁判管轄の決定

  アメリカの会社は代金支払請求の訴えをどの国の裁判所に提起すればよいでしょうか。もし、アメリカ国内の裁判所への提訴が認められれば、日本国内の買主(被告)は、アメリカの裁判所に出頭しなければならなくなるでしょう。被告には、自らを十分に防御しうる機会が保障されなければなりません。そのため、米国の会社は、日本国内の裁判所に訴えを提起しなければならないことになるでしょうか。

   参照 詳しくは こちら

 


A

準拠法の決定

 日本の裁判所に訴えが係属する場合、日本の裁判所は、日本の法律に基づいて審理すればよいでしょうか。この場合には、日本の実体法(民法や商法など)に従って裁判してもよいかという問題と、日本の手続法(民事訴訟法など)に従って裁判してもよいかという問題があります。前者は、国際私法の問題で、後者は、国際民事訴訟法の問題です。なお、一般に、手続は法廷地法によるという原則が確立しています。つまり、日本で裁判するときは、日本の手続法が用いられます。

   参照 国際私法については こちら


B 

国際重複起訴

 訴えが日米両国の裁判所に提起されたとき、裁判所はどうすべきでしょうか。両裁判所が矛盾する判決を下すとすると、事件の適切な解決が図れなくなります。


   参照 詳しくは こちら



C 

外国判決の承認・執行

 アメリカの裁判所が判決を下す場合、同判決は、日本国内でも効力(承認・執行)があるでしょうか。


   参照 詳しくは こちら


 

  「国際民事訴訟法」の講義では、このような国際的な訴訟問題について説明しますが、国内事件を対象にした「民事訴訟法」の授業内容が基礎になっています。そのため、「民事訴訟法」の講義も併せて履修することが望ましいといえます。

 


  成 績 評 価 方 法

 成績は、@授業時間中に行う小テストとA学期末提出のレポートの結果を総合して判定します。

 

     昨年度のレポートについては こちら (参考にしてください)

 


  使 用 す る 法 令


         民事訴訟法、民事執行法

  ※ 「国際民事訴訟法」という名称の法律はありません。

 


  参 考 図 書

 

民事訴訟法判例百選I(新法対応補正版)1998年)2100

東京弁護士会国際取引法部会編「国際訴訟のQA」商事法務研究会(平成8年)2900

   




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