TOP      News   Profile    Topics    EU Law  Impressum          ゼミのページ



ユスティティア EUの教育・青少年政策




B.    受 訴 裁 判 所


3. 裁判官の除斥・忌避・回避

 裁判所は紛争の事実関係を的確に認識し、法令を正しく適用した上で、公正な判断を下さなければならない。これを実現するため、裁判官には、その独立性が保障されているが(憲法第76条第3項参照)、担当裁判官が事件と特別な関係にあり、公正な裁判が妨げられることを未然に防ぎ、また、裁判に対する市民の信頼を確保するため、裁判官を事件の担当から外す制度が設けられている。これには、@ 裁判官が当事者自身であるか、当事者と密接な関係にあったり(第23条第1項第1号〜第3号、第5号)、または、A 裁判官が事件と密接な関係を有することを理由に(第4号、第6号)、その職務執行を排除する 除斥と、その他の理由に基づき、排除される 忌避 の制度がある。詳しくは後述するように、除斥と忌避は、裁判所の決定に基づき行われるが、これを待つことなく、裁判官は自主的に事件の担当から外れることができる。これを 回避と呼ぶ(民事訴訟規則第12条)。


 

除 斥

忌 避

回 避

原 因

裁判官が当事者と密接な関係にあること(第23条第1項第1号〜第3号、第5号)

裁判官が事件と密接な関係を有すること(第4号〜第6号)

除斥原因以外の裁判の公正を妨げる事由

除斥または忌避の原因

決 定

裁判所が当事者の申立てにより、または、職権で決定する(第23条第2項、第25条)。

裁判所が当事者の申立てにより決定する(第24条第1項、第25条)。

裁判所の許可を得て、裁判官自身が決定する(民事訴訟規則第12条)。




 除斥 は、裁判所が当事者の申立てに基づき、または、職権で決定するが、第23条第1項が掲げる除斥原因があるときは、除斥が決定されなければならない(第23条第2項、第25条)。第23条第1項が掲げる除斥原因があるにもかかわらず、行われた職務行為は無効となる(事前に除斥決定が下されていない場合であれ無効である)。また、除斥決定を無視してなされた裁判は、絶対的上告理由(第312条第2項第2号)および再審事由(第338条第1項第2号)となるため、上告および再審が認められる。また、即時抗告 により不服を申し立てることのできる決定が確定し、その決定に除斥されるべき裁判官が関与していたときは、準再審が許される(第349条)。

 忌避 は、当事者の申立てに基づき、裁判所によって決定されるが(第24条第1項、第25条第1項参照)、単に裁判を引き延ばす目的で、裁判官の忌避を申し立ててはならない。裁判所はこの申立てを容易に認めておらず、最高裁判所は、裁判官が被告の訴訟代理人(弁護士)の娘婿であるケースにおいても、公正な裁判が妨げられる事情があるとはいえないとし、忌避を認めていない(最判昭和30年1月28日、民集第9巻第1号83頁)。もっとも、この判例は厳しく批判されており、先例としての機能は疑われている
。なお、担当裁判官が当事者自身の娘婿であるときは、除斥の対象となる。これは第23条第1項第2号において明瞭に定められている。


除斥・忌避


 【参考】

  裁判官の妻が当事者であることは除斥原因にあたるが(第23条第1項第1号)、裁判官の内縁の妻が当事者であることは除斥ではなく、忌避の原因となる(第24条第1項)。


 除斥または忌避の申立てがあったとき、訴訟手続は、同申立てについて決定が下されるまで停止する。ただし、急速を要する場合は除く(第26条)。

 裁判所が特定の裁判官の除斥・忌避に理由があると決定したとき、不服申し立ては認められないが(第25条第4項)、理由がないとする決定については、即時抗告 をすることができる(第5項)。



Voice Home Page of Satoshi Iriinafuku

「民事訴訟法講義ノート」のトップページに戻る